こんにちは、iU Blogの古谷野です。
以前ご紹介した「iU生に聞いたiUの面白かった授業ランキング」で見事1位に輝いた「イノベーションプロジェクト(以下イノプロ)」について、学生目線で詳しく紹介していきたいと思います。
私も一番好きな授業で、かなり熱意と時間を割いて取り組んでいました。
イノプロってどんな授業?
イノプロはiUの花形といえる授業です。各クラスごとに約10グループずつのチームに分かれてビジネスアイデアを構築・発展させ、授業ごとに毎回プレゼンを行います。
以前も紹介した通り、学期末には最終プレゼン大会があります。クラスごとに予選会を行い代表チームを決めます。最終プレゼン大会にはその代表チームのみが参加することができます。
最終プレゼン大会の審査員には投資家や起業家などが参加してくださるので、質の高いフィードバックを頂くことができます。因みに今年最終プレゼン大会に参加できたチーム数は、各クラスから2チームごとの10チームでした。やはりクラスの代表に選ばれたチームなだけあって、私にはない発想を持ったチームが揃っていました。
他の授業と違うところ
イノプロは他の授業とは大きく異なっている点がいくつかあります。
1つ目 授業外のグループワーク中心なところ
授業内では主に各グループがプレゼンを行い、それに対して教員や学生がフィードバックします。授業の最後に次回までにグループワークでやってきて欲しい課題の説明と、その課題の意味や目的を講義していただきます。
授業外の時間ではグループごとに次回までの課題をやったり、アイデアをブラッシュアップさせていきます。課題もとても面白く、ためになるものばかりです。課題の詳しい内容は後ほど触れていきたいと思います。
2つ目 授業が隔週なところ
今年は毎週木曜日の3,4限目に隔週で授業がありました。隔週の裏の週はそこが空きコマとなるため、私はグループ内のミーティングやインタビューする時間に使っていました。
他の人はバイトを入れたり、休息に使ったり、友人と遊んだりと使い方は様々だったようです笑
因みに来年度はクラスごとにイノプロがある曜日が違うようですが、隔週は変わらないみたいです。
3つ目 担当する教員が各クラスで違うところ
1クラス45人がA~Eに分かれており、クラスごとに教員と教務(iUではIM局員と呼ばれている)が1名ずつ担任としてつきます。
イノプロはクラスの担任教員が担当します。後期は全クラス同じカリキュラムで行われていましたが、前期は各クラス少し授業内容が異なった形で進められていたようです。
あるクラスでは授業ごとにテーマが作られ、それに関連したゲストからフィードバックをもらえたクラスもあったようです。
イノプロでは何が学べる?
イノプロではアイデアを実現させるにあたって必要な事や、チームマネジメントなど起業家になるにあたって必要なスキルを超能動的に学ぶことができます。
1年前期はビジネスの基本である*デザイン思考の仕組みを学び、後期は課題発見からその解決策のストーリー(プロダクト&サービス)の構想をしました。
*デザイン思考・・・下記の図のような、一連の問題解決の考え方の事
チームマネジメントの部分ですが、各々でモチベーションや使える時間が違うので、リーダーとなる人はこの管理が重要と感じました。
これらをグループワークを通して行うため、実践にかなり近くとても価値のある授業だと感じます。
私は前期・後期両方ともリーダーだったのですが反省する部分が多く、チームを動かす事の難しさを感じました。
ただ確実に前期より後期の方がチーム管理が上手くなったという成長を感じることができました。
起業やプロジェクトを運営する経験が入学前になかった私でも、リーダーとしてとても良い経験ができたので、やる気があれば誰でもできると思います!
前期と後期の授業内容の違い
<前期>
前期の授業のコンセプトは、実現可能性は全く考えず「iUらしいパンクなアイデア」を考えるのがメインでした。
イノプロはクラスの担任によって内容が変わりますので、1例として私のクラスの流れを紹介します。
まずクラス全員が「コロナによって困った人を顧客としたアイデア」を考えました。1分間でプレゼンを行ったあとクラス全員が投票を行い、その中で票が集まった上位11名が代表者となりチーム形成されました。
次にそのアイデアがPSFに沿っているかを検証するために最低20人にインタビューを行い、想定している人のPAIN(顧客が減らしてほしいと考えている要素)とGAIN(顧客が増やしてほしいと考えている要素)を調査しました。
その次に、MVP(Minimum Viable Product=実用最低限の製品)をスライドベースで作成しました。MVPとは、想定している課題の解決策として最低限の機能を製品化したものです。それを使って製品が顧客のニーズを満たしているかどうか検証し、顧客の反応を見て製品を改善していきます。
MVPスライド(スライドでどんなサービスかを表す)
具体例として、YouTubeで説明してみましょう。YouTubeのメインは、ある人が動画投稿をしてそれを別の誰かが見るというサービスです。MVPはこの部分のみを抜粋して製品化したものです。
そして前期の最後の課題として、デジタル・ストーリーテリングを作成しました。ストーリーテリングとは、。伝えたい事柄やコンセプトを印象的な今までの体験談やエピソード等の「ストーリー」を引用して、聞き手を感情的に揺さぶり共感や記憶に残らせるプレゼンの手法です。
実際に顧客や投資家などにこの手法を使い揺さぶることができれば、自分のファンにすることができると思います。
授業では実際にデジタル・ストーリーテリングという動画を作りました。
最後に前期で構築してきたことを資料にまとめ、5分間の最終プレゼン大会を行いました。審査員には墨田区の様々な代表者の方々が務めてくださいました。
余談ですが、前期イノプロの代表チームで起業したチームがいます。イノプロからでも事業を実現することは可能なので、起業を目標にして取り組んでいきましょう!
<後期>
後期のコンセプトは、前期とは違い「実現可能性があるビジネスアイデア」を考えようでした。後期は全クラス基本同じような授業内容だったため、来年度も大方やり方は変わらないと思います。
まずチームの決め方ですが、前期とは異なり心理テストや前期の評価等を元にチームが作られました。心理テストはスペースシャトルの乗組員決めにも使われていたものだったらしいです。
アイデアは事前にメンバーのそれぞれが考えたものの中から1つ選びました。
次に、前期同様ユーザーインタビューを行い、PAINとGAINを調査しました。それをもとにCJM(カスタマージャーニーマップ)を作成しました。カスタマージャーニーとは、「顧客が購入に至るまでのプロセス」です。製品の認知から、購買意欲に駆られ購入するまでの道筋を顧客の行動や心理を時系列的に可視化したものです。
カスタマージャーニー図
その次は、アイデアのビジネスモデルを考えました。アイデアのビジネスモデル図(製品や金の流れを可視化したもの)を作成して、自分たちの課題や強みを把握しました。
ビジネスモデル図
その次の課題では、UI・UXについて考える内容でした。
UI(ユーザーインタフェース)とは「人とモノをつなぐ境界線」の事です。具体例として、アプリをスマホやタブレットなどで見ている時に得られる情報(デザイン等)を表します。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、「人がモノやサービスに触れて得られる経験や体験」の事です。例えば、ある製品を使用した時やアプリを使用した時に感じたこと全てがUXとなります。ポジティブな感想でもネガティブな感想でもどちらもUXです。
最後の課題としては、作ったビジネスモデルキャンバスを元に予測損益計算書を作成しました。
予測損益計算書は全て予測となりますが、*フェルミ推定を駆使して考えているビジネスアイデアがどのような売上・損益が出るのかを把握します。
*フェルミ推定・・・いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること
予測損益計算書を作ることで、製品化していくときにいくら値下げしたら利益が出ないのかや、自分たちのアイデアにとって重要な点を何か把握することができます。
また投資家にプレゼンを行うにあたってどのくらいの金額を投資してほしいのかを提示するエビデンスとして使用することもできます。
予測損益計算書 図
そして、前期と同じようにクラスで代表チームを2チーム選考し、代表者プレゼンがありました。200人以上いる客員教員から数名、審査員として発表を聞いていただきました。
また、今回から「iUアクセラレーター」というプログラムが学期終了後の長期休み(前期:夏休み,後期:春休み予定)に開催されます。
アクセラレーターとは、*シード期を過ぎたスタートアップ企業のビジネス拡大に焦点を当てた資金投資やノウハウなどのサポートをする組織です。因みに「iUアクセラレーター」は少し特殊で、まだ起業していないチームが中心のなか一般のアクセラレーター同様の支援が頂けるようです。
*シード期・・・サービスを始めていない準備期の事。起業前や起業直後を指す。
私も「iUアクセラレーター」に参加することができたため、後日それに関する記事も書きたいと思います。
最後に
イノプロはiU1期生の1番好きな授業に選ばれているように、本当に楽しい授業です。個人的に好きな部分は、グループで協力してビジネスについて頭フル回転させて考える部分です。自分がかけた時間だけ知識を得ることができる部分や成果が出すことができるのはやっていてとても楽しいです。
<2期生の方へ>
是非この授業を心待ちにしていてください。仮に既に起業している人も、イノプロ全体のテーマである「グループワークを通じて自分のベストビジネスパートナーを見つける」ことが出来る可能性もありますので、高いモチベーションをもって参加してほしいです。
<iUの入学を検討している人へ>
起業を目指している人などビジネスに興味があるような人は、この授業を受ける事を目的として入学しても損はないと思います。
ではまた次の機会に!
語り場